■2023年3月30日オンラインサロンで紹介した本
「希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章 上・下」著者ルトガー・ブレグマン (著),野中 香方子 (訳)
<本書の内容>
人間の本質は善か悪かという問いに対して、本書では、人間の本質は善であることを様々な根拠を挙げて述べています。
これまで、人間の本質は悪であるという主張の方が信じられ広がりやすい傾向がありましたが、本書では、その理由も述べられています。
近現代の社会思想は、”性悪説”で動いてきました。
・ホッブズの「万人の万人に対する闘争」
・アダム・スミスによると、人は損得勘定で動くホモエコノミクスである
・ダーウィンが唱えた、自然淘汰説
・ドーキンスは『利己的な遺伝子』(あらゆる生物は遺伝子が利己的な目的で生まれて生きているという説)を執筆
・少年たちのいじめ本性を描いた『蠅の王』がノーベル文学賞した
また”性悪説”を裏付けるような心理学実験や人類学の調査も少なくありません。
・スタンフォード監獄実験(人は役割で容易に悪人になれる)
・ミルグラムの電気ショック実験(ナチス「凡庸な悪」の説明根拠に)
・イースター島絶滅の謎(内戦が理由とされ人肉食説すら唱えられた)
しかし、著者は、”暗い人間観”を裏付ける定説の真偽を確かめるべく世界中を飛び回り、関係者に話を聞き、エビデンスを集めたところ意外な結果に辿り着いています。
この本では、これらの人間の本質は悪であるという考え方の根拠が見事に崩されていきます。
では、人間の本質が善であることが分かったとしたら、何が良いのでしょうか。それは、人間の本質が善であるという前提で、人と接することによって、良い状況が生まれることです。
例えば、人と接するときに、相手の人が「あなたの本質は悪である」と思っている人と接するときと、「あなたの本質は善である」と思っている人と接するときでは、その気持ちが会話や態度の節々から感じ取られることによって、こちらの接し方は変わってきます。
また、著者はこの本の中で、より良い社会を築く上で、「共感」には限界があるので、「共感」より「思いやり」を大切にすることを勧めています。
この本を読んだ人から、世界は必ず良くなっていくという希望を持って生きていくことができるようになったとの感想が多く見られます。
<参加者の声>
「本の紹介や他の方の感想を通して、自分にはない視点を得ることができ、自分の中で考えが膨らみました」
「『共感』と『思いやり』には違いがあること、優しさは伝染することなど体験や経験などをもとに理解できた」
「自分の本を紹介するまでの準備の時間や緊張があり、どうなるかと思いましたが、挑戦してみた結果、それに対する感想をいただくことで、とても刺激になりました。好きな本についていろんな人と話せるのは充実した時間でした」
「これから、仕事上で人とかかわるときに嫌な気持ちが出たときに、客観的に状況を見つめ、その人のよい所を見つめようとすることで、コミュニケーションが円滑になり、仕事の生産性が高まりそうです」
「紹介していただいた本の内容を今の環境で使えることは限られていますが、とにかく潜在的な意識で対応しないようになるべく相手を実際に見て判断することがとても大事だと感じました」
「意見を出すことの大切を知ることができたので、これからも、積極的に意見を出していこうと思いました」